
こんにちは。レティシアンスタッフのSです。
先日、我が家の犬が6歳の誕生日を迎え、あと1年でシニア期に入る…?!と思うと、ふと「この子が年を取っても、私はちゃんとお世話できるのかな?」と少し不安になりました。
動物医療が進歩し、ペットの平均寿命が延びて15歳を超えるワンちゃんも珍しくなくなってきました。長生きできることは幸せですが、そのぶん介護の時間も確実に長くなっており、シニア期を10年近く生きるワンちゃんも増えています。
しかし、私たち人間の生活スタイルは共働き・単身・高齢化が進み、むしろより忙しく、余裕がなくなってきているように思われます。
オーナー様がお仕事などで家を空けている間、シニア犬はどう過ごしているのでしょうか。トイレの失敗、足腰の衰え、夜鳴きや徘徊など…少しずつ始まる変化を支えるには、愛情だけでは足りないこともあるのではないかと想像します。
そのようなときのひとつの選択肢として、「老犬ホーム」をおすすめしたく、ここでご紹介させていただきます。
「老犬ホーム」は“施設”というより“もうひとつの家”。
愛犬の豊かな時間を延ばし、暮らしの質を上げるための前向きな選択肢だと私は考えています。
目次
老犬ホームとは?~「介護のプロ」が支えるもうひとつの暮らし~

「老犬ホーム」とは、加齢や病気などで介助が必要になったワンちゃんを預かり、日常生活のケアを行う専門施設です。人間でいえば、デイサービスから老人ホームまでを含む介護支援施設に近い存在です。
老犬ホームの3つの形
老犬ホームには、ワンちゃんとオーナー様のライフスタイルに合わせて、いくつかの滞在スタイルがあります。
・デイケア(日帰り)
人間でいうデイサービスに近い形で、ワンちゃんを朝預けて夕方迎えに行きます。食事・排泄・見守り・散歩などワンちゃんに適したケアを行ってくれます。オーナー様のお仕事中の見守りや軽度の介護が必要な子に向いています。
※費用目安:1日3,000円~8,000円ほど
・ショートステイ(一時預かり)
数日〜数週間にわたってお預けし、毎日のケアを行ってくれます。オーナー様の旅行や入院、介護疲れなどの際に利用されることが多いようです。ペットホテルと似ていますが、シニア犬に特化したケアを受けられることが特徴です。
※費用目安:1泊5,000円~15,000円ほど
・ロングステイ(長期・終生)
人間でいうところの老人ホームや特別養護老人ホームに近い形で、数ヶ月〜生涯、寝たきりや重度介護が必要なワンちゃんのケアを行ってくれます。ご高齢のオーナー様や継続飼育が難しい場合などに利用されます。
※費用目安:月50,000円~150,000円ほど+初期費用
このように「老犬ホーム」は、“最期まで預かる場所”だけでなく、「日中だけ」「短期だけ」利用できる仕組みがあるので、オーナー様のライフスタイルに合わせて利用することができます。
どのようなケアを行ってもらえるのか

施設によって多少の違いはありますが、基本的なケア内容は次のとおりです。
・食事、水分補給
嚥下機能や食欲に合わせた手作りごはんや温めたフードを与える。
・排泄介助
おむつ交換、体位変換、皮膚ケア。寝たきりの子は褥瘡(床ずれ)予防も行う。
・運動、リハビリ
筋力維持やリラックスを目的として、ドッグランでの散歩・マッサージ・水中歩行などを行う。
・健康管理
定期的な健康チェック、獣医往診依頼、服薬管理などを行う。
・清潔ケア
定期的にシャンプー、ブラッシング、耳掃除などを行う。
・認知機能ケア
声かけ、生活リズムの維持、刺激のある日課づくりを行う。
施設によっては、動物看護師やトリマー、リハビリ専門スタッフが常勤している場合もあります。特に「医療連携型」の老犬ホームでは、体調急変時にすぐ対応できる体制が整っています。
老犬ホームは“オーナー様のため”の場所でもある
人の介護と同様に、ワンちゃんの介護は想像以上に体力を使い、精神的にも疲弊します。ワンちゃんの夜鳴きで十分に眠れない中、出勤前に食事介助や排泄介助を行って…というような日々が続くと、愛犬への愛情があっても「もう無理かも」と感じてしまうことがあることでしょう。
老犬ホームは、そんなオーナー様の“限界の前に頼れる場所”です。
「預ける」だけでなく、「支えてもらう」という気持ちでいると心が少し軽くなるのではないかと思いました。
実際の施設に見るシニア犬たちの“第二の暮らし”

私がそうであるように、老犬ホームについてしっかりイメージすることが難しい方も多いと思います。そういった方にむけて、ここではSNSで人気の3つの施設をご紹介します。実際の施設をのぞいてみると、そこは一般的な介護施設のイメージよりもずっと “穏やかな日常” がありました。
千葉県にある「スマイルフラワー」
こちらの老犬ホームのSNSには、陽だまりの中でのんびり過ごすワンちゃんたちや、スタッフさんのやさしい声かけが印象的な写真が並び、まさに“ホーム”という言葉がしっくりくる温かい空気が伝わってきます。
「今日はお散歩で少し風を感じて気持ちよさそうでした!」といったコメントが添えられ、オーナー様に“今日の様子”が伝わるよう工夫されています。
さらに、動物病院グループによる運営のため、月1回の獣医師往診や医療費の割引制度など、医療と介護の両面を支える体制が整っています。個室には冷暖房完備、ドッグランも併設され、寝たきりのワンちゃんにはリハビリケアも行っています。
目標は「“病気を治す”ではなく、“幸せに暮らす”こと」。医療に頼るだけではない、「穏やかに生きる時間を支える場所をつくること」がこちらの老犬ホームの理念とのことでした。
神奈川県にある「老犬ホーム オレンジライフ湘南」
「人も愛犬も、最後まで幸せな毎日を」という理念のもと、シニア犬に寄り添ったケアを行っている老犬ホームです。SNSやホームページから、清潔で明るい室内、穏やかに横になるワンちゃんの姿、丁寧に声をかけるスタッフさんの写真が印象的で、ここにも“家の延長”のような温かさが感じられました。
施設内には診療室が設けられ、専任の獣医師が在籍。「痛くない、苦しくない」を大切にした医療ケアが特徴です。また、24時間体制でスタッフが見守り、夜間のケアや排泄介助、体位変換、褥瘡(床ずれ)予防など、シニア犬に必要なサポートが行われています。
オーナー様から寄せられるお声には、「寝たきりの愛犬が安心して過ごせた」「介護の負担が軽くなり、自分自身も救われた」というものも。
ワンちゃんのケアだけでなく、オーナー様の気持ちにも寄り添ってくれる、心の負担まで軽くしてくれるような老犬ホームだと感じました。
東京都にある「THE ケネルズ東京」
東京都目黒区にある「THE ケネルズ東京」は、シニア犬が安心して過ごせる“もうひとつの我が家”を目指した老犬ホームです。
SNSには、ふかふかのクッションで眠るワンちゃんや、スタッフさんに優しく声をかけられて過ごす様子が投稿されており、落ち着いた穏やかな雰囲気が伝わってきます。
また、季節ごとのイベントや、ワンちゃんのお誕生日のお祝いなどにも積極的で、「お誕生日ケーキと記念撮影」「ハロウィン仮装でのワンショット」など、愛犬の特別な日を大切にしてくれる様子も見られます。離れていても、こうした写真やコメントを通じてオーナー様が安心できる仕組みがあるのも魅力です。
お預かりは日帰りから長期、終生まで幅広く対応しており、オーナー様からは「安心して任せられた」「老犬期の悩みを一緒に考えてくれた」というお声も寄せられています。
ワンちゃんにもオーナー様にも寄り添う温かい老犬ホームという印象です。
どの施設にも共通していたのは、“オーナー様とワンちゃんの関係を絶やさない工夫”です。オーナー様が「離れていても繋がっている」と実感できるので、老犬ホームは、「愛犬を任せる場所」ではなく、「愛犬と一緒に支えてもらう場所」になっているのだと感じました。
老犬ホームの利用を検討すべきタイミングについて

最初は、愛犬が階段を登りたがらなくなったり、散歩の距離が短くなったりといった小さな変化からはじまり、気づけば、夜中に鳴き続けたり、食事を介助しなくてはいけなくなったりとオーナー様の生活が一変することも少なくありません。
「何歳になったら」といった明確な基準はないため、オーナー様が「限界」を感じる前に、こちらを参考に老犬ホームの利用をご検討いただくとよいかもしれません。
・食事や排泄に介助が必要に。お留守番できる時間が短くなり、時間的負担を感じるようになってきた
→デイケアや短時間預かりを検討
・夜鳴きや徘徊といった認知症のサインがみられ、睡眠不足や心身的負担を感じるようになってきた
→夜間常駐型ホームにて見守り依頼を検討
・寝ている時間が長くなり、体位変換や清掃が重労働で肉体的負担を感じるようになってきた
→医療連携型ホームへ相談を検討
・鳴き声やニオイなどによって、家族や近所との関係に負担を感じるようになった
→最適な方法について専門家へ相談
オーナー様とワンちゃんの双方が穏やかに過ごすためにも、老犬ホームに頼るタイミングを見誤らないことが大切だと思います。これからのことを考え、準備をはじめるタイミングに早すぎるということはないので、不安を感じた時点で、様々な老犬ホームについての情報を集めることをおすすめします。
老犬ホームの選定について チェックリスト

いざというときのため、すぐに頼ることができる老犬ホームを事前にチェックしておくとよいでしょう。ここでは、選定基準をチェックリストにしました。
必ず確認したいところ
・ワンちゃんたちが穏やかに寝ているか
・スタッフさんの声が優しいか
・床や空気が清潔かどうか
積極的に確認したいところ
・獣医師往診の有無、緊急時連携病院有無
→医療対応の範囲を把握
・夜間スタッフ常駐の有無
→夜鳴き・急変時対応の確認
・個室/共同スペースの環境
→清潔さ・安心感の確認
・手作り食や薬混ぜ対応の有無
→個別対応の柔軟性の確認
・動物取扱業登録の有無
→法的に認可された施設かどうか確認
・面会・写真・SNS報告の頻度
→離れていても“繋がれる”仕組みかどうか確認
・初期費用・月額・追加料金の有無
→費用の透明性を確認
・施設理念や方針
→スタッフさんの思いや価値観に共感できるか確認
まとめ
ワンちゃんの老いは、悲しみではなくこれまで積み重ねてきた時間の証です。若いころのように走れなくても、目が見えにくくなっても、それでもワンちゃんは、オーナー様が「ただそばにいる」だけで、安心してくれます。
老犬ホームは、そんな穏やかな時間を守るための場所です。
日々お留守番が多い我が家にとっても、シニア期を迎える我が家の犬のことを考えると不安でたまりません。だからこそ、老犬ホームの存在を知ったとき、支えてもらうことができる場所があることに心から安堵しました。
将来的に、老犬ホームを上手く頼り、助けていただきながら、家族の一員である我が家の犬との時間をもっと大切にしたいと思います。同じように働くオーナー様や将来に不安を感じている方にとっても老犬ホームが“安心できる選択肢”のひとつとなることを願っています。
▼あわせてこちらのコラムもぜひご覧ください
【愛犬のシニア期に寄り添う】~シニア犬の老化への理解と終活のすすめ~
【シニア犬の介護】 ~愛犬の最期への心構え、簡単なケアについて~
<参考文献>
・一般社団法人 老犬ホーム協会
・高齢犬の行動変化と飼い主の意識調査(秋田恵里・内田佳子/日本小動物獣医学会会誌 60 (12) 863–)
・ペット介護の社会学(ペットと暮らす社会に関する研究)
・日本愛犬愛護協会「老犬介護について」
・老犬ホーム、老猫ホーム入居数調査(2025年5月)
・「資料3 業種追加の検討『老犬・老猫ホーム』について」 環境省
・「老犬ホームとは?介護が必要なシニア犬を預かる施設の基本知識」老犬ホームズ