
こんにちは。レティシアンスタッフのHです。
ペットを飼われているオーナー様なら、一度は「このフードに入っている添加物、大丈夫なのかな?」と不安になったことがあるのではないでしょうか。
「無添加」「保存料不使用」などとパッケージに大きく書かれているフードを見ると、“添加物や保存料が含まれているフード=悪いもの”のように感じられることもありますよね。大切な家族の一員である愛犬や愛猫の食べ物ですから、安全性には特に敏感になるものです。
しかし、実際には「添加物」という言葉そのものが漠然とした不安を抱かせているだけで、必ずしも悪いものとは限りません。それぞれには明確な役割があり、安全性も確認されています。
その多くは人間の食品にも日常的に使用されており、添加物があるからこそフードの品質や栄養価が守られている場合もあるのです。
今回は、以前に掲載した添加物に関するコラムをもとに、ペットフードに含まれる添加物の中でも特によく見かけるものをピックアップし、それぞれの役割や人間の食べ物との共通点、そして“なぜ使用されているのか”という理由までご紹介いたします。
ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。
《獣医師コラム》【ペットフードの添加物】ペット用のフードやおやつに含まれる添加物は安全?役割と合わせてチェック!
目次
そもそも添加物とは?

ペットフードに使用される添加物は、「栄養を補ったりバランスを整えたりするため」「アレルギーや疾患など特別な体質に対応するため」「保存性や風味・見た目など品質を保つため」「製造や保存、運搬をスムーズに行うため」といった目的で使用されています。
「添加物」と聞くと、どうしても体に悪そうなイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、実際にはペットフードに使用されている添加物の多くは、法律やガイドラインに基づいて安全性が確認されたうえで使用されています。
日本では、「ペットフード安全法」により、使用上の注意が必要な添加物については科学的知見に基づいた上限値が定められています。その他の添加物についても、日本国内で認められた食品添加物や、アメリカ・ヨーロッパなどの基準を参考に、各メーカーが安全性を確認したうえで使用されています。
このように、添加物は適切な目的と量で使用されており、ペットの健康を守るための重要な役割を担っているのです。
ペットフードに使用される添加物の分類

ペットフードに使用される添加物は、目的によってさまざまな種類に分けられます。保存性を高めたり、栄養価を補ったり、見た目や風味を整えたりするなど、フードの品質とペットの健康を守るために欠かせない存在です。
代表的な分類には以下のようなものがあります。
栄養バランスを整える添加物
不足しがちな栄養素を補い、成長や健康維持に必要な栄養基準を満たすために使用されます。
・栄養強化剤(ビタミン・ミネラル・アミノ酸など)
保存性や品質を保つための添加物
長期保存を可能にしたり、フードの劣化を防いだりするために使用されます。
・保存料、酸化防止剤、乳化剤、pH調整剤
見た目や食感・香りを整える添加物
見た目を美味しそうに見せたり、香りや食感を良くしたりする目的で使用されます。
・着色料、発色剤、香料、増粘安定剤
ペットフードでよく使用されている添加物とその役割
栄養強化剤
原材料だけでは不足しがちな栄養素を補い、総合栄養食としての栄養基準を満たすために使用されます。
・ビタミン類(A、D、E、K、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、コバラミンなど)
・ミネラル類(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、マンガン、セレン、ヨウ素、亜鉛、鉄など)
・アミノ酸類(タウリン、DL-メチオニン、L-リジンなど)
酸化防止剤
フード中の油脂が酸化することで起こる風味や栄養価の劣化を防ぐために使用されます。
・ミックストコフェロール
原料:大豆油や菜種油などの植物油
・ローズマリー抽出物
原料:ローズマリーの葉部
ローズマリー抽出物は植物由来の成分でできており、BHAやBHTなどの合成酸化防止剤とは異なり、体への負担が少ないとされています。
増粘安定剤
とろみやしっとりとした食感を与えたり、粒(キブル)の弾力や形状を整えたりする目的で使用されます。
・カラギーナン
原料:紅藻類(スギノリ科アイリッシュモス、ミリン科キリンサイ、イバラノリ科イバラノリなど)
・グアーガム
原料:マメ科植物グァー豆の種子胚乳部分
・キサンタンガム
原料:トウモロコシや大豆由来のデンプンを栄養源とした微生物の発酵生成物
pH調整剤
食材の変色を防ぎつつ弱酸性に保つことで腐敗を抑え、さらに保存料や酸化防止剤の働きを高める役割があります。
・重硫酸ナトリウム
・クエン酸
生菌剤
腸内環境を整え、有害菌の増殖を抑えることで消化吸収を助けたり、免疫機能をサポートしたりする役割があります。健康維持や下痢・軟便の改善にも効果が期待されます。
・乳酸菌
前述しましたが、これらの添加物はすべて「ペットフード安全法」により、使用上の注意が必要なものには科学的知見に基づいた上限値が設定されています。その他の添加物も、日本や欧米で認められた食品・飼料添加物の基準を参考に、各メーカーが安全性を確認したうえで使用しています。
なお、抗生物質や抗菌剤などの薬剤、また特定のペットに害を及ぼすことが分かっている添加物については、もちろん使用することはできません。
使用に注意が必要な添加物について

添加物の中には、犬や猫の体にとって必ずしも必要ではない添加物も存在します。
例えば、見た目を整えるための「合成着色料」や、肉の色を鮮やかに見せるための「発色剤」、食いつきを良くするための「香料・甘味料」などは、動物の健康に直接的な効果があるわけではありません。
以下のような添加物は、使用の目的をよく理解しながら、必要性を見極めていくことが大切です。

これらの添加物はすべて、法律で使用量や用途が制限されています。
体内に入ったからといってすぐに害があるわけではありませんが、長期的な摂取や体質によっては影響が出る可能性もあると指摘されています。
特に子犬や子猫、シニア犬やシニア猫、アレルギー体質のペットなどは、添加物に敏感なケースもあるため、「できるだけ不要な添加物が少ないフード」を選ぶという視点も大切です。
人間の食品にも使用されている添加物について

前の章では、ペットフードに含まれる添加物の中でも「注意が必要なもの」についてご紹介しましたが、一方で、前述の【ペットフードでよく使用されている添加物とその役割】で取り上げたような、品質や栄養の安定に必要な添加物の多くは、人間の食品にも日常的に使用されています。
ここでは、それらの添加物が私たちの食生活の中でどのように利用されているのかを例に挙げてご紹介いたします。

ペットフードに使用されている添加物の多くは、その成分の安全性が確認されています。ただし、動物と人間では消化や代謝の仕組みが異なるため、まったく同じ基準で考えることはできません。そのためにも「何のために添加されているのか」を正しく理解することが重要です。
また、オーナー様自身が添加物について正しく知ることで、過度な不安にとらわれることなく、より冷静で合理的なフード選びができるようになります。
パッケージの「無添加」や「保存料不使用」といった表現だけにとらわれず、成分表や添加物の役割を確認する習慣をつけることが、愛犬・愛猫の健康維持に繋がる第一歩です。
まとめ

「添加物」と聞くとネガティブな印象を持たれがちですが、実際にはペットフードの品質や栄養バランス、安全性を保つために欠かせない存在でもあります。その多くは人間の食品にも使用されており、正しく使用されていれば必要以上に不安に思う必要はありません。
一方で、目的が不明確な添加物や、見た目や嗜好性を過剰に高めるために使用される成分については、「本当に必要かどうか」を冷静に見極める視点も大切です。
大切なのは、「添加物=悪いもの」と決めつけることではなく、何のために使用されているのか、どんな働きがあるのかを正しく理解することです。そうした知識があることで、不安に振り回されることなく、納得のいく判断ができるようになります。
このコラムをとおして、「添加物には意外と知られていない添加する理由や役割があるんだな」と感じていただけたら嬉しく思います。添加物に対する不安が少しでもやわらぎ、愛犬・愛猫の健康を考えるうえでのヒントとなれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。