こんにちは、スタッフのSです。
皆様は“ドッグショー”をご存知でしょうか?
ドッグショーとは純血種の犬を対象とした品評会です。各犬種の理想的な姿や特性を評価する目的で開催されており、犬種を特性や役割に応じてグループ分けし、各グループ内で審査が行われます。
今回はドッグショーの楽しみ方と、私が興味を持った第2グループ「使役犬」に分類されるワンちゃんたちにスポットライトをあててご紹介します。
目次
ドッグショーの歴史
世界初の本格的なドッグショーは、1859年にイングランドのニューカッスル・アポン・タインで開催されました。その後、各国でドッグショーが盛んに行われるようになり、中でもイギリスのクラフト展やアメリカのウェストミンスター展などが有名です。
日本では、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)が主催するドッグショーが年間200回以上開催されています。
一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)とは
日本国内における犬の品種認定や犬種標準(スタンダード)の指定、ドッグショーの開催、犬の飼育指導、血統書の発行、公認トリマー、公認ハンドラー、公認訓練士などの公認資格試験の実施と資格発行など、活動は多岐にわたります。
国際畜犬連盟(FCI)が公認する359犬種のうち、日本の環境や飼育事情に適した犬種を選定して、209犬種を日本国内で登録しています(2024年12月現在)。
国際畜犬連盟(FCI)とは
1911年に設立された国際的な犬の組織で、世界中の99の国と地域のケネルクラブ*が加盟しています。FCIは、各国のケネルクラブ*を統括し、犬種の標準(スタンダード)の策定や、国際的なドッグショーの認定などを行っています。
*ケネルクラブとは
各国において犬の品種認定や犬種標準(スタンダード)の指定、ドッグショーの開催、犬の飼育指導などを行う団体を指します。「ケネル(kennel)」は英語で犬の寝る場所、犬小屋を意味します。
ドッグショーの開催目的
ドッグショーは、犬種標準に近い犬を評価するだけでなく、ブリーダーの繁殖方針の正当性を評価・賞賛する役割も持っています。これにより、犬種の保存や健全な繁殖が促進されます。
ドッグショーの楽しみ方
ドッグショーでは、普段目にすることの少ない犬種や、ワンちゃんとハンドラーの息の合ったパフォーマンスを観賞できます。また、ペット関連のグッズ販売やデモンストレーションなど、さまざまなイベントも同時開催されることが多く、犬好きの方には魅力的な場となっています。
ドッグショーは、犬種の理解を深めるとともに、ワンちゃんとの暮らしをより豊かにするための情報収集の場としても活用できます。
ドッグショーの審査基準
審査は、各犬種のスタンダードに基づき、以下の点が評価されます。
外観:体格や被毛の質、色など
歩様:歩き方や動きの滑らかさ
性格:落ち着きや社交性など
これらの要素を総合的に判断し、これからご紹介するグループ内で犬種ごとに審査が行われ、各グループの代表犬が選出されます。さらに最終的には、各グループの代表犬同士で「ベストインショー(Best In Show)」(※ドッグショーの最高名誉の賞)を競います。
ドッグショーのグループ分けについて
国際畜犬連盟(FCI)やジャパンケネルクラブ(JKC)では、犬種をその役割や特性に基づき10のグループに分類しています。
第1グループ:牧羊犬&牧畜犬グループ
牧羊犬や牧畜犬として活躍する犬種が含まれます。
例:ボーダー・コリー、ジャーマン・シェパード・ドッグ
第2グループ:使役犬グループ
番犬、警護、作業を行う犬種が含まれます。
※後ほど詳しくご紹介します
第3グループ:テリアグループ
小型から中型の狩猟犬であるテリア種が含まれます。
例:エアデール・テリア、ジャック・ラッセル・テリア
第4グループ:ダックスフンドグループ
アナグマやウサギの狩猟を得意とするダックスフンド種のみで構成されるグループです。
例:ミニチュア・ダックスフンド、スタンダード・ダックスフンド
第5グループ:スピッツ&プリミティブタイプグループ
ドイツ語で“尖ったもの”を意味するスピッツ系および原始的な特徴を持つ犬種が含まれます。
例:シベリアン・ハスキー、柴犬
第6グループ:嗅覚ハウンドグループ
嗅覚を活かして狩猟を行う犬種が含まれます。
例:ビーグル、バセット・ハウンド
第7グループ:ポインター&セターグループ
鳥猟で獲物の位置を指し示す役割を持つ犬種が含まれます。
例:イングリッシュ・ポインター、アイリッシュ・セター
第8グループ:第7グループ以外の鳥猟犬(レトリーバー&フラッシングドッグ&ウォータードッググループなど)
獲物の回収や水辺での作業を得意とする犬種が含まれます。
例:ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー
第9グループ:愛玩犬グループ
主に家庭での愛玩を目的とした小型犬種が含まれます。
例:パグ、チワワ
第10グループ:視覚ハウンドグループ
視覚を活かして狩猟を行う犬種が含まれます。
例:グレーハウンド、アフガン・ハウンド
使役犬とは?使役犬に分類される主な犬種について
“使役犬”と聞くと、盲導犬や聴導犬を思い浮かべる方が多いと思いますが、ジャパンケネルクラブ(JKC)独自の分類で、上記でご紹介した10のグループのうち、第2グループのワンちゃんたちのことを“使役犬”としています。
ここでは、第2グループに分類される馴染みのある犬種について一部ご紹介します。
ドーベルマン
ドイツ原産の大型犬で、その引き締まった筋肉質な体と高い知能から、警察犬や軍用犬として活躍してきました。一方で、家庭犬としても愛される魅力的な犬種です。
外見の精悍さとは裏腹に、友好的で人懐っこい性格を持ち、オーナー様に対して非常に忠実です。一方で、警戒心が強く、見知らぬ人や状況に対して慎重になる傾向があります。
ロットワイラー
ドイツ原産の大型犬で、その強靭な体格と高い知能から、古くから作業犬として活躍してきました。落ち着いて従順であり、忠誠心が強く、素直な性格な子が多いそうです。家族に対しては特に愛情深く、子どもや小動物を含めた家族を守ろうとする態度が非常に強いがゆえに番犬としての活躍が期待されています。
ボクサー
ドイツ原産の中型犬で、その力強い体格と活発な性格から、家庭犬としても作業犬としても高い評価を受けています。家族に対して非常に愛情深く忠実で、遊び好きで快活な性格とされる一方で、見知らぬ人には警戒心を示すことがあります。知能が高く従順で、しつけがしやすい犬種とされています。
セント・バーナード
スイス原産の超大型犬で、その温和な性格と救助犬としての歴史で知られています。家族に対して愛情深く、子供や他のペットとも良好な関係を築くことができる子が多いようです。
グレート・ピレニーズ
フランスのピレネー山脈を原産とする超大型犬で、その優雅な外見と穏やかな性格で知られています。穏やかで愛情深い性格を持ち、家族に対して忠実です。一方で、独立心や警戒心が強いことから、護衛犬としての活躍も期待されています。
グレート・デーン
ドイツ原産の超大型犬で、その威厳ある姿から「犬の中のアポロン神」とも称されています。その大きな体とは裏腹に、穏やかで優しい性格を持ち、家族に対して深い愛情を示します。知能が高く従順で、しつけもしやすいとされていますが、独立心も持ち合わせており一人の時間を楽しむこともあります。
バーニーズ・マウンテン・ドッグ
スイス原産の大型犬で、その美しいトライカラーの被毛と温和な性格から、多くの人々に愛されています。温厚で忍耐強く、落ち着きがある性格が特徴です。オーナー様に対して忠誠心が強く献身的ですが、やや人見知りな一面も持ち合わせています。
ニューファンドランド
カナダ東岸のニューファンドランド島を原産とする超大型犬で、その優れた泳力と温和な性格が知られています。利口で気が優しく、穏やかな性格が特徴です。家族に対して非常に忠実で、子供や他のペットとも良好な関係を築くことができます。
第2グループに分類される犬種は全体的に大きめな犬種が多く、がっちりした強そうなイメージがありますよね。
使役犬の役割について
ジャパンケネルクラブ(JKC)で “使役犬”として第2グループに分類されるワンちゃんたちは、警備、救助、護衛などの分野での活躍が目立ちます。
ここでは人間の生活を支援するために特別な訓練を受け、さまざまな分野で活躍する“使役犬”の役割を具体的にご紹介します。
警察犬
刑事部に所属し、 事件現場において優れた嗅覚で犯人を追跡し、 捜査活動を支援します。犯罪捜査や犯人逮捕を目的としています。
・足跡追及:事件現場に残された遺留品の臭いから、犯人や行方不明者の足取りを追跡します。
・臭気選別:逮捕された容疑者と現場に残された証拠の臭いが一致するかを確認します。
・警戒活動:パトロールや護送などの際に、周囲の安全を確保し、不審者の発見や威嚇を行います。
・捜索活動:行方不明者の捜索や、危険物の発見など、多岐にわたる捜索任務を担当します。
・麻薬探知:空港や港湾施設などで、麻薬の密輸を防ぐため、荷物や人から麻薬の臭いを検知します。
警察犬として活動できる犬種は定められており、第2グループに分類される犬種の中では、ボクサーとドーベルマンが該当します。
また、警備犬と警察犬は少し任務が異なるようなのでこの後ご紹介する警備犬と比較してご確認ください。
警備犬
警察(警備部)や自衛隊などの公的機関に所属し、警備現場で以下のような任務を遂行します。
・爆発物の捜索:優れた嗅覚を活かし、爆発物の検知を行います。これにより、テロリストの制圧や災害救助などの警備任務を遂行します。
・犯人の制圧:犯人の追跡や制圧を担当します。
・災害救助:災害救助犬として災害現場で被災者の捜索・救助活動を行います。ハーネスや鈴を付け替えることにより、1頭で複数の任務を行うことが可能です。
ちなみに、災害時などによく目にする「災害救助犬」は、警備犬とは異なる任務と捜索方法を持つ専門の救助犬ですが、状況によっては警備犬や警察犬が災害救助犬としての役割を果たすこともあります。
警備犬として活躍している犬種は、警察犬と同様にボクサーやドーベルマンが多いようです。
警護犬・護衛犬(ガードドッグ)・番犬
特定の人物、家庭、施設、または家畜を守るために訓練された犬を指します。その主な業務内容は以下のとおりです。
・不審者の威嚇と警告:護衛犬は、見知らぬ人や動物が守るべき領域に接近した際、大きな声で吠えることで警告を発し、侵入を未然に防ぎます。これにより、オーナー様や管理者に注意を促すとともに、侵入者に対して威圧感を与えます。
・直接的な防衛行動:必要に応じて、護衛犬は侵入者や攻撃者に対して攻撃的な行動を取ることがあります。例えば、追跡や咬みつきなどの行動を通じて、侵入者の行動を制限し、被害を防止します。
・家畜の保護:農場や牧場では、護衛犬が家畜を外敵から守る役割を果たします。狼や熊などの捕食者から家畜を守るため、家畜護衛犬としての役割を担います。
・財産の保護:家庭や企業の敷地内で、護衛犬は財産の保護にも活躍します。夜間や不在時においても、敷地内を巡回し、不審な動きに即座に反応します。
・犯罪の抑止:護衛犬の存在自体が、潜在的な犯罪者に対する抑止力となります。特に、視覚的に威圧感のある犬種は、その存在だけで侵入や犯罪行為を思いとどまらせる効果があります。
犬種の指定は特になく、ボクサーやドーベルマンの他にセント・バーナード、グレート・ピレニーズ、グレート・デーンなどの犬種の活躍が目立ちます。
これらの役割以外にも、頑丈な体と筋肉を活かし、物資の輸送や犬ぞりレースなどのスポーツイベントなどで活躍しているワンちゃんもいます。
バーニーズ・マウンテン・ドッグ、ニューファンドランドなどの犬種の活躍が目立ちます。
まとめ
今回はドッグショーの楽しみ方、そしてジャパンケネルクラブ(JKC)で第2グループに分類される使役犬についてご紹介しました。
ドッグショーで“スタンダード”を見て学ぶことも大切だと思いますし、その犬種特有の特徴や特性を知っていると正しく接することができると思います。
人間のために働いてくれる使役犬に限らず、ワンちゃんたちはお仕事をして褒めてもらったり、おやつなどのご褒美をもらえたりすることで毎日イキイキとした生活を送ることができるそうです。こうした特性から、活躍できる場を増やしてあげることでより大きな喜びを感じてくれているそうです。
私たちのために働いてくれるワンちゃんたちの姿には感動させられることが多く、ときには可哀想なことをしているのかもしれないと感じることもあります。しかし、ワンちゃんたちも喜んで活躍してくれていると思うと、やはり私たちとワンちゃんたちはお互いに良いパートナーなのだと感じます。人権ならぬ“犬権”を尊重しつつ、私が関わるワンちゃんたちが充実した犬生を送れるよう努めたいと改めて思いました。